どっちからおろすの?
作成:2017/04/05
更新:2017/04/05
ワサビをおろす際の流儀として、上側からおろす人、下側からおろす人、2つの流儀があります。これらについて、それぞれのメリットは以下の通りです。
<上側>
茎側、地上側とも呼び、ワサビ農家が好んで用いる手法なことから、私は勝手に「ワサビ農家流」と呼んでいます。利点として
- 美味しいところから食べられる。ワサビは上に向かって成長していくので、上部組織が新しく健康で病気になりにくい為(※)。
- すりおろしていくと、最後に先端の古い組織が残る。この部分は小さくてすりおろしにくく、かつ、不味いことが多い。罪悪感も感じず、そのまま廃棄することができる。
- 茎の無い分コンパクトになり、食べきれない際の保管が容易である。
- 茎を廃棄しなければ、豆腐の薬味等に活用しやすい。
※ほとんどの場合当てはまるが、必ずしもそうではない。花芽や種の季節、酷暑の季節に成長した組織は、たとえ新しくても不味くなることが多い。栽培環境が変わって不味くなることもある。
<下側>
根側、地下側とも呼び、飲食店が好んで用いる手法である。特にカウンターなどオープンキッチンであったり、お客様自身がおろす場合に用いられる。
- 茎が取り除かれるとワサビかどうかわかりにくく、お客様に対してビジュアル的インパクトが弱い。
- おろしたワサビをとりだす際、茎を1本抜けば、スクレーパーがわりになる。
- ツマがわりに茎を食べることができる。
- 茎周辺の歩留まりが少ない。
因みに、私個人としは農家ですが、後者を採用しています。というのも、前者は真っ先に生長点を除去してしまうからです。これでは、もし美味しいワサビに出会ったとき、種を存続させたいと思ってもそれが容易にできません。尚、このディメリットは品種開発に興味のあるワサビ農家以外には関係のないことです。したがって結論は、どちらの流儀が正しいというわけでもなく「各個人の好みでどうぞ」ということになります。要は本人が美味しく感じれば、それでいいのですから。
<参考文献>